47 薬剤師あるある(3)
薬局に入ってこない人
小さな薬局では、待っている方がたくさんになるとソーシャルディスタンスが取れず、当然ながら、外でお待ちいただくか、いったん家に帰ってから再度来局をお願いするかの選択をしなくてはなりません。
地域密着の薬局なので、再度の来局はそれほど無理なことではないのですが、すぐにお薬が必要な方にとっては、待ち時間はつらいものです。
増してや、医療機関で長い間待たされた方にとっては、待ち時間の長いのは、苦痛そのものです。
「どのくらいの時間がかかりますか?」
「早くしてもらえませんか?」
薬局に入るなり、顔つきが戦闘モードの方は、口に出さなくても、こう顔に書いてあります。
中には処方箋を片手で出して(薬局が小さいので、入り口の近くに処方箋置き場があるため)、外にずっと待っていて、薬局に入ってこない方がいます。
どんな人かと言うと、
- 犬を連れている方。
- コロナが怖くて薬局に入ってこられない方。
- 電話をしている方。
- 自転車の前後に子供を乗せたままの方。
時々犬を抱いて入ってしまう方がいて、こちらからお断りしています。
コロナが怖くて入ってこられない方には、服薬指導時間も短時間にしています。
電話が長すぎてお呼びするのを逸してしまいますので、電話は短めにしてほしいと思っています。
自転車に子供を乗せたままのお母さん、気持ちはとても良くわかります。
今の自転車はシートベルトやいろいろな装具がついていて、乗り降りが大変ですね。発熱しているとかぐっすり寝てしまっているとか・・・どうしてもという時はこちらから外に出て服薬指導していますが、なるべく薬局内に入ってきてほしいと思います。
中には自転車に子供を乗せたまま、お母さんが薬局内で待っている方がいて、慌てることがあります。
今の自転車(電動自転車)は倒れにくいとは知っていますが、やはり危険です。
待ち時間にスマホばかり見ている母親
私たちの薬局は、小さいので、座る場所があまりありません。
ですから、私たちのモットーは早く、正確に!!です。
お子さんを連れたお母さんは、ほとんどいってよいほど、待ち時間にスマホを見ています。
その間子どもは・・・・薬局内を走り回ったり、椅子の上に土足のまま立ったり、薬局の調剤室に入ろうとしたり、2階に行こうとしたりなど・・・
ところが、お母さんは全く子供を見ていないのです。
私たちが困って、子どもに ここは走っちゃダメよ!とか2階には上がらないで!、椅子の上にたたないで!
と大きな声で注意すると、おもむろに顔を上げて、子供を叱るばかりかこちらを睨む人もしばしば・・・。
こんなシーンに最近多くであうような気がしています。
子供をあまり縛らないことは子育てには必要なことですが、公共の場での子どもの行動は、親がしっかりと躾けないと、誰が躾けてくれるのでしょうか?
TPO(Time・Place・Occasion)をわきまえた行動(本来の意味は服装だそうですが・・・)を教えるのも親の仕事です。ところが、親がTPOをわきまえた行動ができていなければ、子どもに教えようがありません。
たまにこれをしっかりと躾けている親に会うと、涙が出そうになります。
それくらい少なくなった事が問題ですが・・・。
患者さんに気持ちよく帰っていただくために
患者さんは薬局に入ってくるとき、少なからず不安を感じていると思います。
また何らかの病気を抱えているわけですから、気分も良くないはずです。
そこで私たちは次のことを考えています。
- なるべく薬局内の滞在時間を短くすること。
- 待っている間に不安になる言葉を発しないこと。
- 薬がそろわない場合は、なるべく早くお話し、いつ手に入り、どう患者さんの手元に渡せるのかを説明すること。そして約束したことは必ず守り、守れないときはなるべく早く連絡を取ること。
- 服薬指導は丁寧に。患者さんにあった服薬指導をする。例えば耳の遠い方には大きな声で、目の見えない方には、すぐに薬が使える法をお互いに共有する、たくさんの薬を
そろえられずに困っている方には、一包化という方法を相談する。などなど・・・
- 何でも相談できる雰囲気を作る。
最後には気持ちよく帰っていただき、またこの薬局に来たいな!と思ってもらうよう心がけています。
私たちも人間ですから、間違えることがないとは言えませんが、人間は面白いもので、コミュニケーションがしっかりとれている相手のしたことには目くじらを立てないものだと思います。
ですから、コミュニケーションを何よりも大事にしています。
コミュニケーションにはマニュアルはありません。
相手の目を見て、相手が発する言葉や、顔つきなどを注意深く見ながら話さなければなりません。
コミュニケーションには、それまで生きてきたその人のすべてが出てしまうものです。
相手の立場に立てる人?自己中心的な人?閉鎖的な人?誠実な人?・・・
いくら薬の知識を伝えようとしても、なかなか伝わらないことがあります。そんな時は話題を楽しいものに変換し、相手の気持ちをほぐすことが大事です。
薬局だけでなく、人間にとってコミュニケーション能力は最も大事だと言っても過言ではないと思います。
なんでも相談できる場所
昔から薬局は何でも相談できる、話ができる、コミュニケーションの場となっていたと思います。
私の祖父は戦前から薬局を営んでいましたが、薬局にはいつも人が集まっていて、おしゃべりできる場でした。
現代は核家族が多いため、子育てについて相談できる場が少なくなっていると思います。
また、認知症や介護のことは経験者から話を聞くことで、精神的に落ち着くこともあります。
私は薬局をそんな場所にしたいと思っています。
では、今日も1日前向きに!!