100 薬剤師あるある(18)〜死ぬまで元気でいよう〜
病院から町の医院へ
4月になって、医療報酬改定があり、国は大きな病院から町の医院になるべく任せる方向にシフトしてきました。
厚生労働省「平成29年患者調査」によると、入院日数の平均は29.3日です。
急性期病院での入院日数はおおよそ20日未満というのが一般的です。
まだ十分に動けないのに退院を勧められる場合もあります。
一般病床を有する病院において、一般病床に入院する患者の平均在院日数は約18日。
では、なぜ早期退院や転院をしなくてはならないのでしょうか?
病院の制度が、2週間での退院を推奨していること。
医療の技術や、治療のレベルが高く長期入院を必要としないこと。
病院の機能を維持して、適切に運用していく必要があること。
この3つのが、現代の医療サービスを説明していくことで重要となります。
要するに、医療費(保険)を適切(必要な人に最低限必要なだけ)に使いたいということです。
病院から在宅へ
最期は病院ではなく、自宅で・・・私の小さいころは、ほとんどの高齢者が自宅で最期を迎えましたが、現代では、本人は自宅で最期を迎えたいと思っているのに、ほとんどの場合病院で最期を迎えます。
本人は、家族に迷惑をかけたくないと思い、家族は病院のほうが安心できると思うからです。
また在宅の医師の数も圧倒的に少なく、日本はまだまだ在宅で最期を迎える準備ができていないと感じています。
私の義理の父も母も自宅で亡くなりました。
父は段々と機能が低下して、寝たきりではありませんでしたが、朝起きたら亡くなっていました。これから介護や看護が大変になるだろうと思っていた矢先でした。
最後まで孫たちと一緒に食事をし、旅行をし、いつも家族一緒でした。
母は一時施設に入っていましたが、最後は自宅で家族と過ごしました。
兄弟姉妹が母のベッドの周りで食事をしたり、話をしたり、にぎやかに過ごすことができた
ことは、母にとっても私たちにとってもよかったと思っています。
何よりも、人間の死というものを身近で見ることができたのです。
介護保険制度
介護保険が創設されたのは、2000 年(平成12年)ですから、それまでの在宅での看護や介護がどれほど大変だったかは想像に難くありません。
高齢化が進むにつれ、介護を必要とする高齢者の増加や核家族化の進行、介護による離職が社会問題となり始めたころです。
家族の負担を軽減し、介護を社会全体で支えることを目的に介護保険ができたのですが、何しろ初めての制度なので、試行錯誤しながら、今年で22年目を迎えたところです。
私は発足時からケアマネージャーをしていたので、この介護保険制度がどのように成長してきたかをずっと見てきました。
家政婦とヘルパーを混同してしまい、何でもヘルパーに頼んでしまったり、夜中に電話でたたき起こされたり・・・など、ケアマネージャーも専門家とは名ばかりで、生まれたてで右も左もわからない状態でしたので、最初の10年くらいは霧の中で仕事をしている感じでした。
高齢者の方々とお話する間に、わかった事が一つあります。
それは、高齢者になると、皆寂しいのだということでした。
昔の大家族のように、高齢者を尊重して生活するライフスタイルから、核家族化が進んで、皆、自分のことを第一優先にするライフスタイルになってきました。
昔は、高齢者には高齢者の役目というものがありましたが、現代では、高齢者は若い人達のお荷物になっていると感じてしまいます。
人生100年といわれる社会で、高齢者がより良く生きるためには、なるべく死ぬ直前まで元気で過ごすことが理想です。では、そのためには高齢者になるまでにどんな準備をしなければいけないのでしょうか?
①自分のことは自分でできるようにする
既婚者は、いつ相手がいなくなるかもしれないので、なるべく相手、ましてや子どもたちに頼らずに生活することです。また、独身者は今まで通り自力で生活できるようにする。
②なるべく働き続ける
働くことによる、経済的な面が大きいですが、毎日メリハリのある生活をするためにも、行く所があって、することがあるということが元気の素です。
③転倒して、骨折しないよう気を付ける
高齢化するということは、自分の頭で考える自分ではなくなるということなので、慎重に生活する。
④良く食べて、良く動くこと
たんぱく質をしっかり食べて、毎日無理をしない程度に歩くことで足の筋力を維持することが大切です。
日本の介護保険制度はとても良くできていると思います。
自立して生活できるのが理想ですが、なかなか理想通りにはいかないと思います。
もし、困ったときはぜひ、介護保険制度を使って、無理せず生活できるようにしましょう。
入院するのではなく、自宅で最期まで生活できるように知恵を絞って、工夫しましょう。
親の面倒は子供がするもの!という考えから、どうしてもだめな時は子どもに面倒掛けるかもしれないけど、なるべく介護保険制度を使って、自分で頑張ってみる、という方向に変わってきています。
そして高齢者が、お荷物ではなく、若い人達の見本になることで、高齢者の役目を果たしましょう。
では、今日も一日前向きに!!