一寸先はヤミがいい

〜薬剤師ガンサバイバー 今日も前向きに〜

48 新型コロナウィルスのパンデミックがもたらしたもの(1)

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オードリー・タン氏

台湾におけるウィルス封じ込め作戦はあまりにも有名ですが、それはオードリー・タンという一人の人だけで成し得たことではありません。

台湾の社会の仕組みを変化させてきた国民全体の力と言えるのではないでしょうか。

 

2020/1/20、感染者が出る前から、中央感染症指揮センターを設立し防疫対策に臨む体制作り。

2020/1/21、武漢から帰国した台湾人女性の感染確認。

2020/122、武漢からの団体観光客の入国許可を取り消し。

2020/1/24、中国本土すべての団体入国禁止。

 

スマートフォンによる感染経路の確認および濃厚接触者に警告メールで伝えたり、

マスクの増産を指示し、政府が全て買い上げ、すべての人に行き渡るような策を講じました。

 

ところが、日本でも起きたように、マスクの買い占めが出て、すべての人に行き渡らないことが分かりました。

クレジットカードやICカードで実名販売し、1回しか買えないようにしましたが、国民の4割にしか行き渡らなかったことが分かりました。

そこで、カードだけでなく、全民皆健康保険(カードまたはデジタル)を使うことで高齢者にもマスクが行き渡るようにしました。

スマホ自動販売機を使って、誰がマスクを買ったかがわかるようにしました。

 

project.nikkeibp.co.jp

 

並ばないで買えるよう、マスクマップを3日間で作成しました。

 

www.newsweekjapan.jp

 

これには、シビックハッカーと言われる、政府が公開したデータを活用してアプリやサービスを開発する民間のプログラマーが大きな成果をもたらしたとのことです。

 

diamond.jp

 

オードリー・タン氏は、次のように言っています。

 

大事なことは、国民が自発的に政府に協力してくれたことです。

信頼関係がなければ、デジタル化は進みません。

そして政府や民間が、あらゆる機関をまたいで統合しなければ問題を解決できないのです。

そうすれば情報を再確認し、お互いに意見を出し合って対策を考えることができます。

 

台湾ではロックダウンは行っていません。

なぜならSARSの経験を生かしたからです。

その経験は2つのことを教えてくれました。

 

  • ロックダウンは、社会的に良い結果を生まない。
  • マスク(特にN95)の着用は感染予防効果が高い。

 

news.biglobe.ne.jp

 

台湾は次のようなスローガンを掲げました。

 

「Taiwan can help   台湾は手助けできる・お互いさま

困っている人を見れば、誰に指示されることなく、自発的に積極的に手を差し伸べる。」

 

で、大量のマスクと防備用品を送る医療外交に着手しました。

 

また、少数の人が高度な科学知識を持っているよりも、大多数の人が基本的な知識を持っていることの方が重要なのです。

マスク着用・手洗い・ソーシャルディスタンスを可能にします。

 

デジタル技術は社会の方向を変えるものであってはいけないのです。

より広く、より早く伝えるツールであって、民主主義を変えるものであってはいけないのです。

 

AIは全ての人が使えるものでなくてはならないのです。

ですから高齢者は使えないAIではだめなんです。

それにはネット環境の整備が必要ですし、G→5Gを地方から始めていくことが必要です。

 

オードリー・タン氏はさらに今後のデジタル化について、次のようなビジョンを持っています。

 

3つのキーワード

持続可能な発展・イノベーション(技術革新)・インクルージョン(誰一人も置き去りにしない)

そしてこれらの目標を達成するためのキーワードも

3つのキーワードがあります。

それは、以下の3つのキーワードになります。

自発的・相互理解・共同作業

 

AIはあくまでも人間を補助するツールであって、人間にとって代わるものではない。

AIで次世代に絶対にリスクを残すものであってはならず、次世代により良い環境を残す方策を練り、私たちがどの方向に行きたいのかを手助けしてくれるツールでなけらばならない。

 

www.nomura.co.jp

 

 

このオードリー・タン氏の本を読んで、彼は本当にすごい人だと感じました。

 

彼は台湾の行政院(日本でいうと内閣)の閣僚の一人である、デジタル担当の政務委員をしていますが、公僕中の公僕になる!つまり国民のために、未来のために働きたいといっているのです。

 

彼は成長期に男性ホルモンが80歳の男性と同じレベルだったそうです。

男性としての思春期・女性としての思春期をそれぞれの年齢で過ごしたそうです。

ですから彼は中性、彼自身はトランスジェンダーと自覚しています。

性別は男でも女でもない“無”だそうです。

彼は24歳の時にこのことをカミングアウトし、25歳の時に名前を「唐鳳(とうほう)」に変えたそうです。

「オードリー」は男女どちらにも使える、ニュートラルな名前であると感じたからです。

また日本の友人から、「鳳」は「おおとり」と読むし、発音がオードリーに似ているといわれ決めたそうです。

 

トランスジェンダーとして生きている彼は、男女の枠を超えて自由度が高いし、少数派に属しているので、すべての人に寄り添うことができると感じています。

 

今の資本主義の競争社会からお互いに助け合う社会、持続可能な社会に変換させようとしている人です。

それをデジタルを使ってやろうというわけです。

その前に、私たちがどういう方向に進もうとしたいのか?と言う議論が先にあることが大事なことだとも言っています。

これから自分の仕事がAIに取ってかわられても、人間はより良い公共の価値を生み出すことができます。

より良い方向を示すことができます。

 

AIのび太の成長を促すドラえもんだと思えばいいのです(オードリー・タン)

gendai.ismedia.jp

 

では今日も一日、前向きに!!