32 SPOM(持続可能な心の安定)
前回はSDGsについて書きましたが、書いているうちに、どんなことがあってもずっと心が安定している状態を人間が持てるのではないかと考えるようになり、
この言葉を自分なりに造り、SPOMと名付けました。
SPOMとはSustainable Peace Of Mindの略です。
私はいつからか、何が起こっても動揺しないで行動できるようになりました。
全く動揺しないと言っては嘘になりますが、自分が乳がんのステージ4と告知された時も、あまり慌てませんでした。
いつからかこのように安定した心になったのかを考えてみました。
それは、以下の死の受容の5段階を知ってからだったような気がします。
死の受容とは
「死ぬ瞬間」の著者、エリザベス・キューブラー・ロスが唱えたモデルに、死にゆく人の心理の変化、いわゆる死の受容の5段階があります。
- 否認と孤立
自分の命が長くないことに衝撃を受け、その事実を感情的に否認したり、その事実から逃避しようとしている段階。周囲から孤立しがちになる。
- 怒り
死ぬという事実は認識したが、一方で、「ではなぜ、自分がこのような境遇になってしまうのか」といった思いが強く、周囲に反発したり、怒りがこみあげてきたりする。
- 取り引き
死をもう少し先延ばしできないか、あるいは、奇跡が起こって死を回避できないかと考えて、神仏にすがったり、善行を行ったりする。
死を避けられないことが分かり、あきらめや悲観、むなしさ、憂うつ、絶望といった気持ちが支配して、落ち込む。
- 受容
死を、誰にでも訪れる自然なものとして受け入れるようになる。これまでの価値観や視野とは異なる次元があることを理解し、心静かに暮らす。
この死の告知を、がんの告知と考え、自分に当てはめてみると、
- 否認はありませんでした。それは私が高齢で子育てを卒業していたこともあり、冷静にああ、そうなんだ!と受け止めました。
- 怒りもほとんどありませんでした。2人に1人はがんになる時代、なぜ、自分が!!という思いはなかったです。というのも、いつかは自分もがんになるだろうと予想していたからです。
- 取り引きはもちろん、ありました。治療をして、もしかしたら少し長く生きられるのではないかと思いましたが、神仏にすがることも、善行をすることもなかったです・・・。
- 抑うつですが、全くありませんでした。死が避けられないことは事実ですし、あきらめずに治療に専念しようと思いました。その考えを持った経緯としては、育った環境というのももちろんありますが、ブッダの思想にもあるように、ただ事実だけを受け止め自分の為すべきことだけに専念するという考え方を知っていたからです。
私はがんの宣告から、
⑤の受容までの時間がとても短かったような気がします。
周りの人からは奇異な目で見られていたかもしれませんが、強がりでもなんでもなく、ただ現実をしっかりと見つめ、受容することができました。
自分を分析すると、何か起こったときに、冷静に事実を受け止めて、今何ができるのかを判断し、前を向いて歩きだせたのだと思います。
ただし、これが池江選手のような若い時に告知されたら、どうだったのか?と考えると自信がありません。
池江選手はこの5段階をひとつひとつクリアーするために相当辛い思いをしたのではないかと想像しています。
人は最初からできるわけではなく、どこかでこのような心の葛藤を経験することになるのだと思います。
たまに経験することなく一生を終える方もいないとは言えませんが・・・。
これは自分に起こったことだけではなく、肉親を失ったとき、飼っていた動物を失ったときなど、〇〇ロスと言われる現象です。
SPOM(Sustainable Peace Of Mind) 持続可能な心の安定
もし、SPOMを持つことができれば、最強の人間になれます。
何が起きようとも、ただ事実を受け止めることができるからです。
これは仏教における「中道」という考え方です。
中道とは、正見し、知恵を獲得し、苦しみを滅する悟りに至る方法です。
コモンセンスの時にお話した、「中庸」とは全く違うものですが、それは次回お話することにします。
では、明日も1日前向きに!!