一寸先はヤミがいい

〜薬剤師ガンサバイバー 今日も前向きに〜

9 がんという病気

 

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がんという病気が私にもたらしたもの

私は小さいころから人間の身体にとても興味がありました。

 

父が開業医で、外科出身だったため、診療室で簡単な手術をしていました。

昔は家族で父を支えていたため、私は照明係で良く使われました。今では信じられないことですが・・・。

というのも、姉は血を見ると失神してしまうため使えなかったからでした。

ちょっとした傷の縫合手術をじっと見ているのが好きでした。

 

社会人になり、勤めていた大学病院でオペが見学できると聞くと、よくお昼休みに見学に行ったものです。

 

さいころの私の関心事は人間の身体そのもののほか、人間の心や行動でした。

家に来るお客さん(人の出入りの激しい家でした)の話し方や行動を真似して見せたり、話している言葉をにわかには信じられず、腹の中を覗いたり・・・。

末っ子ということで兄や姉たちの行動や両親の対応をじっと見て、危険を察知する能力を身につけたようです。よく、要領のいい子といわれました。

 

 

私の生まれ育った環境のせいか、小さいころから人の死を経験することが多かったように思います。いつも、人間とは?死とは?自分ながらに考えていました。ですが、答えを求めるために本を読みあさることはなく、ひたすら人の観察をしていた小学生でした。

 

 

ブログの最初に書いたように、小学生の時から内観(内省)、つまり自分の中で沸き上がる感情を分析していたように思います。兄たちにいじめられたときは、悔しくて地団駄踏んでいましたが、なぜ兄たちは私をいじめるんだろう?私はいじめられるとなぜくやしいんだろう?とノートに書いていた記憶があります。今残っていれば見たいのですが・・・。

 

内観を続けることで、不思議と自分の中に沸き上がった感情をコントロールまでは行かなくても鎮めることができるようになりました。つまり自分の感情を冷静に分析できるようになったのではないかと思います。

 

もともと負けず嫌いで勝気な性格で、悔しい、うらやましい、という感情が強かったのですが、その感情を心の中で処理することで、表に出さずにポーカーフェイスでいられるようになったのです。そのお陰で、人に何を言われても怒らない人、動じない人という印象を与え、

人から相談されることが多くなった事は、今の仕事にプラスに働きました。

 

64歳でがんのステージ4だと知った私は、もちろんショックを受けました。

 

自分の中で沸き上がる感情を分析してみました。

 

まだ死にたくない!

夫を残して死ぬわけにはいかない!

もっと生きて、孫の顔が見たい!

夫婦や家族ともっと旅行がしたい!

仕事は、どうしよう!

 

書いているうちに、自分でも気が付いたのです。

これって生きているうちに何とか出来ることじゃない?

 

そうだ!死ぬまで生きられるんだ!

時間が限られた分、今からいつ死んでもいいように準備しよう!

 

がんという病気は最後まで意識はある(脳は例外)ので、準備ができるのがいいですね。

 

というわけで、仕事は自分の後を任せられる人を見つけ、すぐに仕事に慣れてもらうことにしました。コロナ禍で旅行はできなかったのですが、夫が困らないよう、生きている間に

できることをしています。

 

一寸先はヤミ。いいじゃないですか!ヤミの中で光を探すことを面白がりましょう。

 

死を意識し始めてから、人生はバラ色です。死以上に怖いものありますか?

怖いものがなくなったので、開き直り状態、裸の自分でいられることの心地よさ。

反対に、今まで我慢してきたことが、なんと多かったことか!!

 

転んでもただは起きない  

この言葉の意味は、たとえ失敗してもそこから何か得ようとする。

欲の深い、また根性のある人。

 

欲が深い?良い意味だと思っていましたが・・・。

 

がんという病気でこけてはしまいましたが、それから得られるものの多さに、自分でもびっくりしています。

ブログを書こうと思ったきっかけもそうです。

もともと強い人だからそういう風に考えられるの?

答えはNOです。

性格的な強さ、弱さではないと思います。

現実の受け取り方・ものの見方の違いだと思います。

 

うつ病の治療のひとつに、認知療法認知行動療法)があります。

認知とは自分の考え方や感じ方のことで、このせいでストレスを感じて病気になるという

考え方です。この認知のゆがみを本人に発見させることによって、心理的ストレスをなくして、より楽に過ごせるようにするのです。

 

身についた認知を変えることは、相当難しく、つらいことだと思いますが、この過程に内観が必ず必要になってきます。

なぜ自分がこのような現実の受け取り方・ものの見方をするようになったのか?

自分の生い立ちやつらい経験など否が応でも思い出さなくてはなりません。

そして自分でその認知のゆがみに気づくことから始まります。

 

人から指摘されるのではなく、自分で発見することがもっとも大事です。

 

気づいてしまえば、後はそれほど難しくないでしょう。

考え方が変われば、行動が変わります。

 

それでも心理的ストレスを感じて、どうにもならなかったら、逃げればいいんです!!

逃げるという行為も現実の受け取り方のひとつの方法ですからね。

 

心理的ストレスを感じない生活、どんなに楽しいでしょうね。

 

では今日も1日前向きに!!