49 薬剤師あるある(4)
オンライン診療・オンライン服薬指導
皆さんはオンライン診療をご存知ですか?
遠隔医療のうち、医師-患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び 診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為と厚生労働省では定めています。
情報通信機器の内訳はネット回線を利用した映像と言語のやりとり、電話によるやりとりが想定されます。
ネット回線を利用したオンライン診療の構築をサポートする会社が数社あり、利用するためには、それぞれの会社のアプリケーションを医師と患者の双方がPCあるいはスマートフォンなどにダウンロードする必要があります。
通院が困難な方、院内感染が怖い方、慢性疾患で処方薬がほぼ固定しているような方に便利です。
今はコロナ禍ですから、初診でもオンライン診療は可能です。
そこで問題になるのが、処方箋と薬です。
今はコロナ禍なので、処方箋は医院や病院からFAXで送られてきます。
コロナ禍では、FAXで送られてきた処方箋を使って調剤(0410対応)もできます。
薬は取りに来局されたり、郵送も可能です。
オンライン診療ではカード払いOKのところとそうでないところがあります。
薬局も同じで、まだカードだけでOKというところまでは準備がされていません。
コロナ禍では、診療・服薬指導は電話でも可能ですし、処方箋も医療機関からの
FAX(0410対応)でも大丈夫です。
本格的に開始されると、オンライン診療も、オンライン服薬指導も予約してその時間にPCやスマホ等を使用して目に見える形で行われます。
病院や医院に行くまでに時間のかかる場所や、ネットの使える方には便利なツールですが、高齢者の一人暮らしや、家が密集している東京で、病院や医院が近くにある地域ではあまり役立たないのではないでしょうか?
高齢者はネットはもちろん、カードも持っていない方がたくさんいらっしゃいます。
本当に必要な方たちに使えるような仕組みにしてほしいと思っています。
現代は何でもスピードの世の中です。
そして手間を極力避けたがります。
コロナ禍ではなかなか病院や医院に行かれない、行きたくない特別な理由がありますが、コロナが収束した世の中で、このシステムがスムーズに進むとは思えないのです。
なぜなら、診療はまず、病歴の聴取(問診)が主体になります。
病歴聴取は診療技術の中でも、最も重要な技術です。
とはいえ、病歴で推測された病気を診察なり、検査なりで確かめていくステップが通常の診療ですので、オンライン診療の能力は全体の診療行為の正味の能力の半分以下でしかないでしょう。
また、ただの発熱と思っても、重大な病気が潜んでいる場合もあり、血液検査や、胸部X線撮影などを行う必要も出てきます。
通常の診療の半分以下の診療になりかねず、診療の質が低下するという問題点を抱えています。
スマホの画像や動画では、対面で行う診療と違い、触診することができません。
不整脈だと診断するのには心電図が必要なのに、取ることができません。
など問題は山積みです。
本格的にオンライン診療が始まると、初診(初めて診療する方)は不可です。
オンラインでは初めての患者さんと人間関係を構築しにくいです。
また、病歴の聴取(問診)にはかなりの時間がかかります。
オンラインのデメリットを以下に示しました。
- 診療の質が低下する問題点がある。
- 身体の急変に対処できない(即時性がない)。
- 人との距離が遠くなり、情報が正確に伝わらない。
- ネット環境があり、カード使用(現金でも可)できる人だけにしか利用できない。
オンライン服薬指導も同様です。
本格的に開始されれば、今のところ処方箋の原本が必要になります。
これはどう考えてもオンラインではないですよね?
処方箋の電子化が可能になれば解決できるのでしょうが・・・。
初診は受け付けられず、最初は医療機関・薬局それぞれに行かなければなりません。
生活習慣病など、同じ薬の処方に限ります。
急な病気や身体の急変に対する処方もできませんし、調剤もできません。
処方箋は薬局に郵送されますが、コロナ禍のように、FAX(0410対応)では調剤できず、処方箋の原本がないと調剤できないので、タイムラグが生じます。
薬を郵送する場合は、お薬代の上に郵送費がかかります。
まだまだこのシステムが定着するまでには時間がかかりそうです。
では明日も1日前向きに