81 FODMAP(2)
4つの敵
前回のお話の続きです。
ではこの4つの敵【オリゴ糖・ラクトース(2糖類)・フルクトース(単糖類)・ポリオール】はどんな食べ物に存在し、どんな食べ物に含まれないのでしょうか?
ヨーグルトや牛乳には乳糖が含まれています。
一般的にはお腹に良いと言われていますが、過敏性大腸症候群の人は一度に食べる量を減らす必要があります。
食べすぎには要注意なのです。
オリゴ糖は腸の健康に良い影響を与えるとして「トクホ」に認定されていますが、お腹の調子が悪い人にとっては、「トクホ」が逆効果になることがあるのです。
納豆やキムチなどの発酵食品は大腸内で発酵を促進するため、控えた方がいいです。
ただし、味噌や醤油は精製の過程で低FODMAP食になります。
フルクタン・ガラクタンなどのオリゴ糖類を含む、小麦・タマネギ・レンズ豆・ひよこ豆を控えること。
特にタマネギは過敏性大腸炎症候群の症状の引き金となるので、特に控えた方がいいです。
豆類はおなかの調子の悪い人には勧められません。
豆腐(木綿)は精製の過程で低FODMAP食になるので問題ありませんが、
甘味料として使われるソルビトール・キシリトールなどのポリオール類が使われている食品は避けましょう。
キシリトールガムでお腹が緩くなるのは、キシリトールが小腸での吸収が悪いからです。
果糖をたくさん含んだハチミツ・りんご・ももなどの摂取量も減らしましょう。
❶オリゴ糖
・フルクタン:果糖(フルクトース)がたくさん結合した重合体。
小麦食品(パン・ラーメン・パスタ・シリアルなど)・タマネギ
ヨーグルトや牛乳にはフルクタン源としてフルクトオリゴ糖が含まれているので、避けるべきです。
食事中のフルクタンはほとんど小麦由来のものです。
人間はフルクタンを消化できません!!
フルクタンは過敏性大腸症候群を引き起こすFODMAPの中でも最も原因になることが多いものです。
避けた方がよい高フルクタンの食品
果物(柿・すいか・白桃・ネクタリン)
野菜(ニンニク・タマネギ)
穀物(パン・シリアル・ラーメンなどの麺類・クラッカー(ライスクラッカーはOK)・クスクス)
豆類(ひよこ豆・レンズ豆)
ナッツ(ピスタチオ・カシューナッツ)
他(小麦ブラン・イヌリン(加工食品)・フルクトオリゴ糖)
・ガラクトオリゴ糖:ガラクトース分子がたくさん結合した重合体。
納豆は発酵食品で、大腸の中で発酵を進めてしまうので、避けるべきです。
キムチも同様ですが、キムチに使われているニンニクはオリゴ糖(フルクタン)を含んでいるので、避けるべきです。
味噌は同じ発酵食品ですが、精製の過程で低FODMAP食になります。
豆腐は豆から作られていますが、味噌と同じように精製の過程で低FODMAP食になります。
豆乳(大豆由来)は高FODMAP食ですが、大豆抽出物(Soy Protein)から作られた豆乳は飲んでも大丈夫です。
❷二糖類(ラクトース)
二糖類の代表が乳糖です。
腸を整えると考えられているヨーグルト・牛乳など乳製品です。
牛乳の中の乳糖は抗肥満作用がある!内臓脂肪を減らす!ことが証明されています。
解明はされていませんが、お腹の良い人にとってはとてもありがたい食べ物です。
ところが、お腹の調子の悪い人にとっては下痢・ガスのもと、腹痛の原因になるのです。
日本人の7割が乳糖を分解する酵素がうまく働いていないことがわかっています。
・乳糖(ガラクトース)は牛乳・ヨーグルトに含まれています。
食品に含まれ、お腹の調子を崩す可能性のあるFODMAPに含まれる二糖類は、乳糖(ラクトース)のみです。
これは、すべての動物、牛や羊、ヤギの乳にも含まれています。
ラクトースはグルコース(ブドウ糖)とガラクトースという消化可能な糖二つで構成されていて、小腸でラクターゼという酵素により分解されます。
乳糖不耐症の人はこのラクターゼのレベルが低いため、食べた乳糖の内の少ししか分解できません。
こういう人は乳糖を一度に取る量を控えるといいでしょう。
ただし、乳糖の摂取を減らすだけではお腹の症状を楽にすることはできず、他のFODMAPを控えることが大事です。
乳糖は、ヨーグルト・アイスクリーム・プリン・柔らかいチーズ類(カッテージ・クリーム・リコッタ)に含まれます。
硬い、熟成したチーズ(カマンベール・ブルー・モッツァレラ・パルメザン・チェダー)とバターは乳糖を含みません。
マーガリンやバターを塗ったり、少量のミルクチョコレートやケーキは問題ないことが多いのですが、ミルクをたくさん飲むと症状が起こる可能性があります。
❸単糖類
・フルクトース:果糖。果実・ハチミツなどに含まれる。
すべての果物・ハチミツ・高フルクトースのシロップに含まれます。(ジュースにはコーンシロップが添加されていることが多い)
また、ふつうの砂糖・スクロース・ショ糖などのテーブルシュガーの成分の1つであり、野菜の一部や穀物にも含まれています。
フルクトースはグルコースと一緒の時はうまく吸収されますが、フルクトースがグルコース濃度よりも高くなると吸収が遅くなる性質があります。
ですからフルクトースは食べないようにする必要はなく、グルコースよりも少なめに食べれば大丈夫です。
避けた方がいい高フルクトースの食品
果物(りんご・なし・サクランボ・いちじく・マンゴ・洋ナシ・スイカ)
野菜(アスパラガス・アーティチョーク)
甘味料と調味料(高フルクトースのコーンシロップ・ハチミツ・果糖ブドウ糖液糖・高果糖液糖)
❹ポリオール(糖アルコール)
マッシュルームやカリフラワーなどの野菜・様々な種類の果物に含まれます。
虫歯菌のエサになりづらい甘味料としてガムの中などに転嫁されていますが、お腹の調子の悪い人にとっては、下痢、腹痛の原因になります。
これらのポリオール類は、分子量の大きさや、水酸化物としての性格から、粘膜上皮バリアをうまく通過できません。
そのため小腸での吸収が悪く、浸透圧効果によって、水分を小腸に引き込み大腸内で発酵を促進させます。
食品メーカーで保湿剤として食品に用いられたり、人工甘味料として使われます。例えば、シュガーフリーをうたったガムやミント菓子・キャンディーなどです。
パッケージを良く見ると、「食べすぎるとお腹が緩くなることがあります」と書かれています。
避けた方がいい高ポリオールの食品
果物(りんご・アプリコット・なし・もも・西洋梨・ブラックベリー・ネクタリン・プルーン・すいか)
野菜(カリフラワー・きのこ類・さやえんどう)
添加物(ソルビトール・マンニトール・キシリトール・イソマルト・マルチトール・ポリデキストロース)
最近注目されているグルテンフリー食も過敏性大腸炎症候群に効果が期待されていますが
今のところ科学的には確認されていません。
それよりも低FODMAP食の方が科学的にも有効性が高いことが証明されています。
グルテンフリー食と低FODOMAP食との違いは、制限しているもの自体が違うというこ
です。
グルテンフリー食は小麦のグルテン(タンパク質)を完全に避けたものですが、お腹
の調子が良くなったという理由は、食事からグルテンを抜いたことではなく、FODNAP食
の中の1つであるフルクタンを除去した結果です。
過敏性大腸炎症候群に悪さをしているのはグルテンではなく、フルクタンが犯人です。
混同しないようにしましょう。
この「4つの敵」を避けることによって、お腹の調子は徐々に良い方向に向かうことを確信
しています。
お腹の調子の良い人は従来のお腹に良い食事をそのまま続け、お腹の調子の悪い人は、この
低FODMAP食を実行してみましょう。
では今日も1日前向きに!!