80 FODMAP(1)
お腹の弱い人
お腹の不調で悩んでいる人は、アジアの中でも日本がダントツに多く、10人に1人(日本人の14%)もいます。
過敏性腸症候群と言われる病気です。
お腹の不調で悩んでいる人は、少しでもよい方向に向かうよう努力しています。
「たくさんのお医者さんからのアドバイス」
「食事を工夫」
「ストレス解消」
しかし、それで改善したでしょうか?
たくさんの「腸の健康法」が出ているにもかかわらず、これだけ改善しないのはなぜでしょうか?
薬局にも、特に男性に多いのですが、慢性の下痢に悩んでいる方が多く来局します。
「なるべく食物繊維を取り、脂っこい物を避けてください」
「自分が食べて下痢になる食物を摂るのをやめましょう」・・・例えば牛乳
などと説明しますが、一向に効果がないことは私も実感しています。
それはその腸を整える健康法が間違っているからだったのです。
お腹の不調で悩んでいる人はうすうすわかっています。
腸の不調と食事に関係があるのではないか?と。
実はおなかの調子がすぐれない人にとって、腸には『4つの敵』がいます!と言っているのは、消化器内科医の江田証氏です。
著書「パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません」
この本を読んで、目からうろこ!でしたので、ご紹介します。
4つの敵をお話する前にいっておきたいことがあります。
この4つの敵には二面性があります。
お腹の調子のよい人には「いい顔」をして役に立つくせに、お腹の調子の悪い人には「弱いものいじめ」をするようにふるまいます。
そればかりでなく、これらの「敵」を食べると人によっては、だるさや疲労感をもたらします。
原因のわからない「だるさ」はこのせいかもしれません。
お腹の調子の悪い人はこの「4つの敵」との距離を取り、疎遠になることが大切なのです。
この「真に腸を整える食事法」はオーストラリアから始まり、アメリカの一流大学からこの食事法の有効性を示す論文が多数出されて、ローマ財団(世界18か国の医学専門家が持論を行っている世界的権威)は、2013年にこの食事法が最も安全かつ有効性の高い治療法として推奨しており、お腹の調子の悪い人以外にも、腸閉塞(イレウス)・大腸憩室・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)・セリアック病(完全グルテンフリー食も併用)にも応用されています。
「4つの敵」についてはあとでお話することにして、まず私たちの身体は、食べるとどういう道筋を通るのかは皆さん知っていますよね。
口→食道→胃・十二指腸→小腸→大腸の順番です。
胃・十二指腸を通って、小腸で栄養分が吸収されるわけですが、小腸の中には、2つの糖質があります。
- ふつうの糖質:非常に吸収がよいため、腸の粘膜に存在するポンプからどんどん吸収されていきます。そして腸の中から消えていきます。
- 問題を起こす糖質:非常に吸収が悪い。
この糖質をFODMAP(フォドマップ)と呼びます。
この糖質こそが、「4つの敵」なのです。
FODMAPとは?
吸収の悪い糖質のことです。
F(Fermentable):発酵性の糖質
O(Oligosaccharides):オリゴ糖
D(Disaccharides):二糖類
M(Monosaccharide):単糖類
A(And)
P(Polyols):ポリオール
このFODMAP(4つの敵:ODMP)を含んだ食べ物を食べすぎると、小腸の中でこの糖質の濃度が濃くなっていきます。
人間の体の性質に、「濃いものを薄めようとする」性質があります。
小腸の中にあまりにも濃いものが入ると、人間はそれを薄めようとして、血管の中から、小腸に大量の水分を引き込み、「水浸し」の状態になるのです。
水でいっぱいになった小腸は、水によって腸が刺激され、運動が過剰になります。
結果として、お腹がゴロゴロしたり、痛みが出ます。
水が増えるので下痢をします。
過剰な液体に対処するため、腸は早く腸の内容物を押し出す速度を速めるために下痢を起こすのです。
水が大量にたまるので、お腹はパンパンに張ってしまいます。
FODMAPを含んだ食品は小腸に負担をかけます。
現代人の食事では、特に小腸で吸収しにくい食品が非常に多いのです。
小腸に負担をかけないことが、お腹の不調を改善することになるのです。
では小腸で吸収されない糖質(FODMAP)はどうなるのでしょうか?
そのまま大腸にまで達してしまいます。
正常な人の大腸の中の便にはほとんど栄養分が残っていないのが普通です。
なぜなら、小腸でほとんどの栄養分が吸収されてしまうからです。
便は大腸に達する頃には「しぼりかす」の状態になっているはずです。
大腸には大腸の腸内細菌が待ち構えています。
FODMAPは腸内細菌のファーストフードとなり、腸内細菌のエサになります。
腸内細菌とFODMAPは大腸内で異常な発酵を起こし、過剰なガス(水素が多く、二酸化炭素・メタンガス)によってパンパンに張り、周りにある神経が過敏に感じ取り、神経を通じて脳に伝わり、疲れ・不安・お腹の様々な不快な症状を生むというわけです。
ですから、お腹の調子の悪い人がやるべきことは、様々な糖質の中で、FODMAPを含んだ食事をできるだけ避けた食事、すなわち低FODMAP食を取り入れることなのです。
低FODMAP食がどうしてよいのかがわかったと思いますが、
- 低FODMAP食は科学的にその効果が証明されていること。
- 必要な栄養はすべて摂れること。
- 低FODMAP食を実践することによって、長期にわたってお腹のつらい症状が出ないようになること。
以上が証明されて実践されているので、お腹の調子の悪い方は、是非実践してみてください。
下記の一覧表で、何か決まったものを食べたときにお腹の調子の悪くなる人はよく調べてください。
次回はもう少し具体的にお話したいと思っています。
では今日も1日前向きに!!