60 新型コロナ変異株を制圧するのは?
広東省5.21感染
中国の深圳市と東莞市に求められていた省外移動に必要な「48時間以内PCR検査陰性証明」が7月6日に不要となった。
これにより、5月21日に広州市と深セン市で新型コロナウイルス感染者が確認されて以降、約1カ月半にわたって続いていた広東省内の防疫措置が全て解除された。
経緯は次の通りです。
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濃厚接触者26人を特定して集中隔離を行うとともに、感染者が居住する荔湾区を中心に、8万人を超える住民を対象として一斉PCR検査を行った。
翌22日に荔湾区の関連エリアを「中リスク」地域に指定。
26日には感染拡大がみられる荔湾区全域と感染者が確認された越秀区と海珠区の該当地域の全住民に対し、一斉PCR検査を実施するなど、検査、隔離が徹底して実行された。
29日には、荔湾区全域で店内飲食と生活に必要不可欠ではない活動を禁止。
一方で、隣接する佛山市で3人の感染者が確認された。
31日に広州市から省外に移動する者に「グリーン健康コード」と72時間以内のPCR検査陰性証明の提示を義務付ける移動制限を開始した。
- 同日、深圳市では塩田港の貨物作業員のアルファ株への感染が確認された。
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輸出コンテナの受け入れを一時停止した。しかし、感染が主に港周辺地域に限られていたこと、感染者もほぼ作業員の関係者だったことなどから、感染を囲い込むことができた。
グリーン健康コード:48時間および72時間以内PCR検査陰性を示す健康コード
イエローコード:感染者が滞在したことがある地域に行った人の健康コード
強権で制圧した方法についてはいろいろな意見、メリットとデメリットがあると思われますが、この革新的で科学的な感染拡大抑制策は成果を上げたことは確かだと思います。
政府は以下の5点を挙げています。
- 感染源の早期特定と感染ルートの解明
感染者確認の報告を受けた当日午後に感染源を特定できた。また、全症例で遺伝子解析した(国内で初めての対応)結果、全件が第1感染者由来であることが判明。
感染ルートも特定でき、感染の傾向とどのように防疫措置を取ればよいかを非常に明確なデータによって判断ができた。
- 「濃厚接触者」定義の厳格化
デルタ株は濃厚接触者の概念を変えた。
デルタ株はウイルス量が多く、感染者のウイルス濃度も高いため感染力が強い。
以前は発症前2日間に接触歴のある家族や職場の同僚で、感染者と1メートル以内で一緒に食事や会議をした人が濃厚接触者だった。
しかし、デルタ株では発症前4日間に、同一空間、職場、建物にいた者の全てを濃厚接触者として、封鎖式管理や抑制管理など異なる必要な措置を取った。
- 健康コード活用とビッグデータによる行動履歴の把握
ビックデータを活用し、感染者が滞在したことがある地域に行った人の健康コードに「イエローコード」を付与。
あわせて24時間以内のPCR検査を求めるとともに、その後の3日間に2回、7日間に3回といった頻度でPCR検査を実施。
これらによって、感染者を特定した上で、拡散を防止した。
こうした措置は、公安部門との緊密な連携により実現できた。措置の結果として、5月21日を発端とする感染症例167例(6月24日時点、広州のほか佛山、茂名などで感染が確認)のうち、無症状の53例を事前に発見することができた。
- 省外への移動制限策
省外への感染拡大を防ぐため、移動制限策として検査時間72時間内のPCR検査陰性証明の所持を義務化。その後、48時間内に強化した。
- 封鎖・抑制管理エリアでの動物モニタリング実施
封鎖・抑制エリアの動物に対し、変異株が人から動物に、または動物から人に感染するかを実証するため、モニタリングした。
感染が広がった茘湾区西関一帯は広州の旧市街地で、ネズミが特に多いことから住民も猫を好んで飼っている。
国外の実験では、変異株は猫に感染することが証明された例がある。
広州でもネズミ30匹余りにPCR検査を実施した(結果は全て陰性)。
検査は猫や犬も対象とし、考えられる全ての感染源を見つける努力をしている。
この革新的で科学的な感染拡大抑制策などを通じて「効果的な管理(中国語で「有効控制』)」を行い、1カ月での感染抑制という初期目標を達成できたのですが、これで分かった、今後重視すべきこと、いわば教訓が3つあると鐘南山氏は指摘しています。
- 病院の発熱外来の感染予防強化
デルタ株は感染力が強いため、これまでの発熱外来の防疫体制では十分でない。
特に大都市の病院では発熱外来病棟と他病棟との間隔を20メートル以上空けることは難しい。仮に物理的遮断が強化できないとしたら、(1)陰圧かつ窓なしにする、(2)できるだけ独立した場所を選び、とくに風下に注意する、(3)通常外来と発熱外来の出入り口を別にする、などの対応をする必要がある。
- ホテルでの集中隔離の見直し
隔離先として利用されるホテルには、隔離に必要な条件を満たしていないところがあるのも現実だ。そのため、専用施設を設けて隔離すべき。
- 効果的な管理
これまで感染者ゼロを目指す、いわゆる「ゼロ戦略」が取られてきただけに誤解を招きかねない。
感染者や感染ルートが特定できているエリア内で時折1~2人の感染者が発生したとしても「効果的な管理」下にあるとの見解を示した。
同時に、管理下にないエリアで感染者が発生した場合は、高度な警戒が必要で、これまでの「ゼロ戦略」よりも、感染者や感染ルートを特定する「把握」ができているか否かが「効果的な管理」としてより重要だ。
こうして抑え込みに成功した中国は更なる手を打っています。
それはワクチン接種です。
中国製のワクチンの有効率は70%であるため、80%以上の人がワクチンを接種しないと集団免疫が成り立たない。
ワクチン接種をより一層進める必要があります。
中国のワクチン接種数は、4月25日時点で2億2,000万回だった。
それが、5月23日時点で5億1,000万回、6月27日時点では11億9,000万回。
倍々のスピードで急拡大させていたことになる。
ワクチンの年間生産能力も2021年中には計70億回分を超える見通しといわれている。
大都市である広州市や深圳市で、国内初のデルタ株市中感染が起きたことがワクチン接種を大きく進めるきっかけになったものとみられる。
「広東省5.21感染」は防疫措置のあり方、その改善点を気付かせてくれましたが、日本も見習うところはたくさんあると思います。
国それぞれ、方法は違っていいし、正解はないかもしれません。
しかし、今回のデルタ株の特徴は、
(1)デルタ株感染者の体内ウイルス量は従来株の100倍
(2)体内潜伏期間は1~3日で、2020年に武漢で見つかったウイルスの平均3~7日と比べても体内潜伏期間が短い
(3)デルタ株感染後の体内ウイルスが陰性に変わるのに要する時間に13~15日程度(まれに20日以上のケースもあり)、従来株(7~9日程度)のほぼ倍
(4)感染者のウイルス量が多く、感染力は従来株の2倍
という科学的な根拠が出ています。
感染拡散の早さに対してはもっと高度な警戒が必要だと思います。
ロックダウンをしないために、中国のような徹底的な政策を望んでいます。
先日起きた~フェスのようなことが行われないためにも、政府はもっと厳格に対処してほしいし、国民に正確な科学的根拠を示してほしいと思っています。
では、今日も1日前向きの!!