一寸先はヤミがいい

〜薬剤師ガンサバイバー 今日も前向きに〜

35 コロナについて

f:id:aoi_fukurou:20210613102317j:plain


自然免疫と獲得免疫

自然免疫とは、受容体を介して、侵入してきた病原体や異常になった自己の細胞をいち早く感知し、それを排除する仕組みです。

生体防御の最前線に位置している仕組みともいえます。

ただし、特定の病原体に繰り返し感染しても、自然免疫能が増強しません

ここで活躍している免疫担当細胞は、主に好中球やマクロファージ、樹状細胞といった食細胞(白血球)です。

 

獲得免疫とは、感染した病原体を特異的に見分け、それを記憶することで、同じ病原体に出会った時に効果的に病原体を排除できる仕組みです。

適応免疫とも呼ばれます。自然免疫に比べると、応答までにかかる時間は長く、数日かかります。

ここで活躍している免疫担当細胞は、主にT細胞(細胞障害性T細胞※ 1、ヘルパーT細胞※ 2 など)やB細胞といったリンパ球です。

 

獲得免疫の主な特徴です。

① 特異性と多様性:病原体は無数に存在しますが、生体はそれら全てに対してそれぞれに特異的に反応できる分子を持ちます。どのような病原体、異物にも反応できますが、自分自身(自己)には反応しません。これを自己寛容といいます。

免疫記憶:一度感染した病原体を記憶し、再び同じ病原体に遭遇した際には感染・発症を防ぎ、あるいは発症しても軽度で済むことができる迅速で効果的な免疫応答が発揮されます。

 

ウィルスの侵入で何が起こる?

病原体が体の外から中に侵入しようとすると、少なくとも大きな3つの障壁、バリアがあります。

最初の2つの障壁は自然免疫と呼ばれるもので、まず皮膚や粘膜に存在する殺菌物質が病原体の体内への侵入を防ごうとします。

物理的、科学的バリアに穴が開いていると、ウィルスはさらに中に入ってきます。

そこで、白血球の一部である食細胞が病原体を食べて殺すのです。

自然免疫は免疫記憶を持っていないので、もしこの自然免疫だけでウィルスを防げないと、入ってきたウィルスに対して、白血球の中の3種類のリンパ球(B細胞とヘルパーT細胞、キラーT細胞)がウィルスを排除するために抗体を作り、獲得免疫ができます。

 

自然免疫は生まれた時から誰もが持っている機構、獲得免疫は生後発達する機構です。

 

ワクチン接種がどうして必要なのか?

 ウィルス感染を模した形でワクチンを接種すると、最初に刺激を受けるのが自然免疫

これが活性化すると、次に獲得免疫が働きます。必ずこういう順番です。

 

  • 自然免疫が活性化されて、食細胞(白血球)がウィルスを殺します。
  • 獲得免疫が働き、司令塔のヘルパーT細胞B細胞に指令を出し、このB細胞が抗体を作ってウィルスを殺す。またはヘルパーT細胞キラーT細胞に指令を出して、コロナに感染した細胞を殺します。

これらの4つの細胞が順番に働くと、ウィルスが完全に体から排除されます。

体の抵抗力、免疫力というのは、自然免疫と獲得免疫の両方を合わせたものであるということです。

 

最近の調査で分かったことですが、ウィルスに感染していない人の2〜3割にウィルスに反応できるT細胞が存在するというのです。

これは免疫学者にとって驚きです。

普通は感染していない病気に対しては、その原因ウィルスに反応するT細胞はほとんど検出できないのですが、新型コロナの場合は感染していない正常人の2〜3割に、既に新型コロナに対するT細胞がいるということなのです。

現在分かっていることは、このコロナウィルス反応性のT細胞は別の種類のコロナウィルスに反応してできたようで、こういう免疫を交差免疫と言います。

現在風邪をひき起こす4種類のコロナウィルスが知られていて、このウィルスに感染すると、新型ウィルスに対する交差免疫ができるのではないかと言われています。

しかし、コロナウィルス反応性の抗体を持っている人が新型コロナになりにくいのか、それともなりやすいのかということは残念ながら分かっていません。

なぜわからないのかは、新型コロナウィルス感染症発生率が低く、感染のひどい国でも1000人に数人程度しか感染しないからです。

こういう研究は、今まで100人単位でしか行われていないので、新型コロナには通用せず、数十万人以上の調査が必要なためです。

 

scienceportal.jst.go.jp

 

副反応について

副作用は本来、薬品の持つ正しい作用ではなく、望まない作用のことを示します。

ワクチンの場合は薬(治療目的)ではないので、痛みや発熱といった望まない反応のことを副反応と言います。

 

集団免疫について

感染症は、病原体(ウイルスや細菌など)が、その病原体に対する免疫を持たない人に感染することで、流行します。ある病原体に対して、人口の一定割合以上(集団免疫閾値)の人が免疫を持つと、感染患者が出ても、他の人に感染しにくくなることで、感染症が流行しなくなり、間接的に免疫を持たない人も感染から守られます。

この状態を集団免疫と言い、社会全体が感染症から守られることになります。

  • 麻しんは95%、おたふくかぜは75%と言われています。

この新型ウィルスに対して集団免疫は簡単にはできないだろうし、集団免疫の効果はあるかどうかはわかっていないので、おそらくこのウィルスとは数年は付き合っていかなければならないでしょう。

 

mainichi.jp

 

私たちに必要なこと

体の抵抗力、免疫力というのは、自然免疫と獲得免疫の両方を合わせたものであるといいましたが、体の抵抗力、免疫力を維持するために最も大事なことは、生活リズムを崩さないことだと思います。

食事・睡眠・運動はもちろんのこと、コロナに関して正しい知識を得ること。それが「怖がらずに恐れる」ということになります。

筋道を立てて考える習慣をつけることです。

それができると、自分自身に「アラート」を出せ、自分の身は自分で守ることにつながると思います。

「ボーっと生きてんじゃねーよ」 チコちゃんに叱られる~ 

です!!

 

では今日も1日前向きに!!