一寸先はヤミがいい

〜薬剤師ガンサバイバー 今日も前向きに〜

76 セルフメディケーション

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セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と世界保健機関(WHO)は定義しています。

 

日本では、国民の「健康寿命」延伸がテーマで、薬局を地域に密着した健康情報の拠点として、一般用医薬品等の適正な使用に関する助言や健康に関する相談、情報提供を行うなど、薬局・薬剤師の活用を促進しています。

 

ですから、消費者は専門家の適切なアドバイスの下、自分の責任においてOTC医薬品などを選び、有効かつ安全に使用する必要があります。

 

なぜセルフメディケーションを推進しているのでしょうか?

 

それは日本の保険が破たんしているからです。

自分で治せる軽い病気は自分で治しましょう!というわけです。

そのためにセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)があります。

これは、医療費控除の特例として、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日以降に、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものです。

 

これは通常の医療費控除(病院等)との合算はできず、医療費控除を行っている場合、セルフメディケーション税制は申告できません。

どちらか片方のみ申告ができます

もし、セルフメディケーション税制を使いたいのなら、今後、ドラッグストア等で医薬品を購入する際に、セルフメディケーション税制対象商品であるかの確認や、レシートの保存を行いましょう。

世帯での年間購入額が1万2000円以上の場合、セルフメディケーション税制の利用が可能です。

※レシートを紛失した場合、店によっては再発行が可能ですので、購入した店舗にご確認ください。

 

ところで、軽い病気かどうか?誰が判断するのでしょうか?

まずは自己判断せずに、薬局で薬剤師に相談しましょう。

きっと良いアドバイス医療機関を受診したほうが良いかどうか?)をもらえると思います。

 

薬剤師は、「トリアージ」と言って、医療機関への受診が必要か?求めているOTC薬品でよいのか?他のOTC薬品や対処方法があるかどうか?と言うアドバイスをしてくれるはずです。

 

そのためにも、かかりつけ薬局を持っておいたほうがいいです。

かかりつけ薬局ではその方の薬の使用の歴史や、生活習慣などを配慮して、適切なカウンセリングを実施することができます。

 

『頭痛』

頭痛には下記の2種類があります。

 

基礎疾患のない頭痛(頭痛の90%で、緊張型頭痛・片頭痛があります)

基礎疾患のある頭痛

 

このうち、セルフメディケーション可能な頭痛には下記の2種類です。

・緊張型頭痛

片頭痛(偏頭痛)

 

緊張型頭痛とは、頭全体がしめつけられるような痛みがあり、その強さは比較的軽症~中程度。首や肩の凝りを伴うことが多く、マッサージや運動による悪化はなく、予兆や前兆がないことがほとんどです。

 

片頭痛とは、脈に合わせて「ズキン、ズキン」という、中程度からかなり強い痛みがあります。

マッサージや運動で悪化します。吐き気や嘔吐、光や音に敏感になることが多いです。

予兆・前兆として約3割に『閃輝暗点(せんきあんてん)』と言い、視野の中心にきらきらした光が見え、次第にその周辺のギザギザした光が大きくなり、その内側が見えなくなる現象が起こります。

また、頭の片側だけに起こることが多いので、片頭痛も偏頭痛も間違えではありません。

 

そして

・多少我慢でき、仕事や家事などは何とかできる。

・頭痛の持続が10日未満。

・鎮痛薬の使用が毎週2日以内、または月に延べ9日以下のものです。

激しい痛みがあったり、慢性化したものは対象ではありません。

最近、片頭痛の予防薬として新薬が出ましたのでお困りの方はDrにご相談下さい。

 

基礎疾患のある頭痛

・今まで経験したことのないよう頭痛

・突然起こる激しい頭痛

・麻痺やしびれ、ろれつが回らない・ものが二重に見える・意識がおかしい等の神経症状を伴い頭痛

・事故または頭部外傷

・高熱を伴う頭痛

・50歳以降に初発、または、5歳未満の小児

 

疾患名として

  • くも膜下出血:頭に雷が落ちたような痛み、などと言える、経験したことのない頭痛。
  • 脳内出血:突然の頭痛・吐き気・嘔吐・ろれつが回らない・手足のしびれや麻痺などが見られる。(高齢者・事故・頭部外傷など)
  • 脳腫瘍:頭重感や鈍痛が急に強くなり、嘔吐・けいれん発作などが見られる。
  • 髄膜炎:発熱・吐き気・食欲がないなどの症状(5歳未満の小児の感冒副鼻腔炎・中耳炎などが悪化して髄膜炎になることが多い)

 

鎮痛薬の使いすぎ

3か月以上の期間、定期的に1か月間で10日以上、同じ鎮痛薬を服用しているのは、薬物乱用頭痛になります。

服用していた鎮痛薬を中止し、改善することがありますが、中止期間中に発生する頭痛への対応は医師のサポートが必要になるので、早めに受診しましょう。

 

カフェインの摂り過ぎ

1日200mg以上のカフェインを2週間を超えて摂取し続けたあと、次のカフェイン摂取までに間隔があいた場合に生じる頭痛のことです。

これをカフェイン離脱頭痛と言います。

カフェインは多くのOTC医薬品やコーヒー・紅茶・栄養ドリンクにも含まれています(コーヒー1杯50mg~100mg)ので、知らず知らずのうちに重複摂取していることもあります。

カフェインの量には充分注意しましょう。

次回はOTC薬の頭痛薬についてお話します。

 

では、今日も1日前向きに!!