鉄不足
現代人の特に見落としがちな栄養素のひとつに鉄分があります。
鉄欠乏性貧血は、その名の通り、体の中で鉄が不足して起こる病気。
体に貯蔵してあるはずの鉄が失われ、血液中の鉄が不足してしまう。
体内で鉄が不足してしまう原因としては、第一に食事からの鉄の摂取量不足。
第二に妊娠や出産、授乳期や成長が著しい思春期において、鉄分の必要量が増加していることなどがあります。
ところが、貧血がなくても鉄欠乏状態になっていることがあるのです。
貧血とは、血液中のヘモグロビンの量が足りなくなることで起こる症状です。
ヘモグロビンは酸素を運ぶ役割を担っているため、ヘモグロビン濃度が薄くなれば、当然ながら酸素はうまく体中にいきわたらなくなります。
症状は、めまい・頭痛・疲れやすさを感じたりイライラするなどです。
妊娠中は貧血になりやすいです。
妊婦さんはヘモグロビンの生成に関わる鉄分の多くをお腹の赤ちゃんに吸収されてしまうからです。
鉄分の吸収は赤ちゃんの成長にとっても不可欠なことであり、そのため割合でみると妊娠中の4人に1人の女性が貧血に悩まされやすいとされています。
また女性は男性よりも貧血に陥りやすいという特徴があります。
女性の場合、月経や妊娠によって鉄分を男性よりも多く排出することになるため、女性にとって貧血は関わりの深い疾患の一つといえるでしょう。
胎児もまた鉄欠乏性貧血になります。
産後間もない子供の場合は、母体を通じてたくさんの鉄をもらった状態です。
しかし、その後子供は早いスピードで成長を遂げ、胎内にいたときに摂取した鉄は自然と不足しがちになります。
こういった背景から、乳幼児の子供はときに貧血に陥ることがあるのです。
大人の体内にある鉄は全体で3~5グラムです。
このうち約70%が血液中の赤血球の中でヘモグロビンの一部に組み込まれ、酸素の運搬に役立っています。
古くなった赤血球は食細胞であるマクロファージによって処理されます。
その結果、約25%の鉄が肝臓や脾臓の中で、フェリチンというタンパクにくっついて貯蔵鉄として蓄えられています。
これらの貯蔵鉄は、赤血球が新たに生産されるときに使用されます。
不足した分は、食物中の鉄を必要な量だけ小腸から吸収して補います。
一般に、女性では生理による出血で鉄が失われるため、男性に比べ多量の鉄の摂取が必要になります。
フェリチンとは、鉄を貯蔵する働きを持つタンパク質のことで、肝細胞や脾臓、骨髄など体内に多く分布しています。
成人の血清フェリチン1ng/mlは貯蔵鉄量8~10mgに相当します。
そのため、フェリチン血液検査は鉄の欠乏状態を把握するために有用であると考えられています
鉄欠乏性貧血ではなくても、このフェリチン値のみが低下した状態を潜在的鉄欠乏と言います。これは鉄欠乏性貧血の前兆と考えられます。
鉄欠乏の症状としていくつかあげられます。
・爪のアーチが少ない、割れやすい、やわらかい
・硬い物がかみたくなる【氷、爪、あめ、鉛筆など】
・あざができやすい、乾燥肌、髪の毛が抜けやすい
・注意散漫、集中力がない、落ち着きがない
・のどの不快感、飲みこみにくい、声が小さい
・頭痛、肩こり、耳鳴り、めまい、胃弱、食欲低下
・冷え性、疲れやすい
・生理前の不調、生理痛がひどい
鉄分の多く含まれる食品
・レバー(豚・鶏・牛など)
・赤身肉(馬・牛・子羊・豚など)
・大豆/大豆製品(豆乳・木綿豆腐・納豆など)
・青魚(いわし・さんま・さばなど)
・貝類 卵黄 小松菜 春菊
料理としては、
- ほうれん草や春菊ののお浸し
- ひじきと大豆の煮物
- ささみとひじきのサラダ
- 切り干し大根と牛肉の野菜炒め
- しじみのみそ汁
前回のタンパク質を多く取るための食事とよく似ていると思いませんか?
しっかり摂取して元気な毎日を過ごしましょう。
では、今日も1日前向きに。