鼻涙管閉塞(又は狭窄)症
私の高校時代の友人は、高校の時から、涙が止まらない人でした。
悲しくもない、大笑いしたわけでもないのに涙が止まらなかったことを思い出します。
薬局に勤務して、眼科の病気で、鼻涙管閉塞(又は狭窄)症という病気があることを知りました。
また、それには先天性と後天性があるのだそうです。
涙が止まらないということは、何でもない人にとってはそのつらさがわからないでしょうが、常にハンカチやティッシュで目を押さえないといけない煩わしさがあり、若い女性にとってはアイメイクができないといった大変さがあります。
ここで、涙道といっているのは、目元から鼻に抜ける涙の道のことです。
涙腺は目尻の上のほうにあり、常に涙を放出していて、それが涙道に入るので、私たちの眼を乾燥から守ったり、雑菌を洗い流したりしています。
涙は1分間に約0.001〜0.002cc(1~2μℓ)が出ています。
1回の瞬きで約0.002ccの涙が鼻のほうに流れています。
1日の涙の量は大人で約0.6~1cc、子供で約1.35ccで、
1粒の涙の量は約0.2ccと言われています。
うまく涙道に涙が入らないと、目の中に涙があふれ、外に出る場合もありますが、老化してくるとそもそも涙の量が少なくなり、目の中に涙が停滞して、殺菌が繁殖して目やにが出るようになります。
先天涙道閉塞(せんてんるいどうへいそく)は生まれつきの涙道の閉塞です。
鼻性鼻涙管狭窄(びせいびるいかんきょうさく)は鼻炎や副鼻腔炎により鼻涙管が狭窄するもので、症状は先天涙道閉塞と似ていますが、閉塞ではなく狭窄ですので、涙道に水を通すと鼻まで流れます。
治療法
閉塞か狭窄かによって治療法が違います。
先天涙道閉塞の場合
- 経過観察・・・自然治癒することがあるため。
- ブジー処置(先天性鼻涙管閉塞開放術)
- 涙間チューブ挿入術
- 涙嚢鼻腔吻合術(るいのうびくうふんごうじゅつ)DCR
これは鼻涙管の上部で袋状になっている部分【=涙嚢】の内側の粘膜と骨を削り、涙嚢から鼻腔にバイパスを作る方法で、部分麻酔を使用し、時間はあまりかかりませんが、骨を削るのですから、びっくりするかもしれません。
鼻性鼻涙管狭窄の場合
耳鼻科で根気よく鼻炎治療を続けていくことが必要で、もし良くならない場合は、上記の③涙間チューブ挿入術 か ④涙嚢鼻腔吻合術(るいのうびくうふんごうじゅつ)DCRの手術を受けることになります。
狭窄している時間が長いと、涙嚢が固まってしまい、涙道が通らなくなる傾向があります。
チューブを入れても、涙嚢鼻腔吻合術を施術してもまた通らなくなってしまう人もいます。
そうならないためにも予防の点眼薬と点鼻液の使用は必須です。
もともと涙道が狭い方もいて、そういう方は涙嚢炎(涙を溜める涙嚢(るいのう)という目頭に位置する器官に炎症が生じること)を起こしやすいともいわれています。
また、鼻と目はつながっていますので、結膜炎や蓄膿症、ポリープなどが原因として挙げられます。
映画などで大泣きした後に鼻水がどっと流れるシーンを見ることがあるかと思いますが、その俳優さんは健全な涙道をお持ちです。
映画やドラマの見方も違った方向から見るとおもしろいでしょう。
では今日も1日、前向きに!!