44 立花隆さんを忍ぶ
サイボーグ技術が人類を変える(2005/11/5NHKスペシャル)
ジャーナリスト・評論家の立花隆さんが、4月30日、80歳で亡くなりました。
執筆テーマは、生物学、環境問題、医療、宇宙、政治、経済、生命、哲学、臨死体験など多岐にわたっています。
先日、サイボーグ技術が人類を変える(2005/11/5NHKスペシャル)の再放送を見る機会があり、それからもう16年経っているのかと驚きました。
人間の脳とコンピューターを結びつけることが可能になっています。
16年前、「物質文明の行き着く先は・・・生命の神秘・・・ヒトはどこに行くのか」という
テーマで立花さんはこのように言っていました。
『サイボーグはサイエンス・フィクション、つまりSFの世界の話だと思っていたが、最近現実のものとなり始めた、と聞きました。
人間は様々な機械や道具を発明し、社会は大きく変わってきました。
しかし、人間の肉体それ自身は全く変わりませんでした。ところが、サイボーグ技術、つまり神経を一体化させて融合させる技術が生まれたことで、史上初めて人間の肉体が変わり始めました。』
この放送の最後の、アメリカのハンク・グリーリー教授(スタンフォード大学:神経倫理教授)の言葉が、忘れられません。
『脳は人間の中心にあるため、問題があるのです。
脳を変え過ぎた場合、それでも人間は人間という種に属するのでしょうか?それとも違う種になってしまうのでしょうかを決めることはとても難しいことになってきます。
さらに、人間を超えたものに変わっていくとしたら、それが良いことなのか悪いことなのか、その答えを私は持っていません。
この技術が本当に広く人間に使われるまで、あと数年しかありません。
世界中の人達がそれがもたらす社会的影響の問題に意見を述べ合い論じ合うべきだと思います。
話し合いが早すぎることはありません。』
これからすでに16年経っていますが、このことを論じ合った記憶はありませんし、未だにどこまで進んでいるのか、はっきり知りませんが、少なくとも私たちが想像しているよりはるかに進んでいることは明らかです。
核爆弾の恐ろしさは、残念ながら、落とされた広島・長崎の悲惨な姿を知ることでもたらされています。
人間はいかに愚かな生き物であるかがわかります。
世界中の人達が、科学技術の進歩に対して、それがもたらす社会的影響を事前に充分論じ合うことがとても大切なことで、人間はそれができる生き物であることを私は信じたいと思います。
立花隆さんは、16年前に、こう最後を締めくくっています。
『脳とコンピューターを直接つないでコンピューターを操作する技術が進んでいます。
現代社会はコンピューターであらゆるものが動いている社会、体が全く動かない人でも、脳だけでこの世界のあらゆる関係を回復できるようになるわけです。
人間サイボーグ化の方向で使う技術がどんどん精巧なものになりつつあります。
そしてそれはどんどん小さくなり、目に見えないくらいの部品となって、人間の体に入っていく。
この技術は非常に広く使われると思う。
そのときにこの技術が違う方向、例えば軍事技術に使われると、とんでもない、人間スーパー殺人マシーンのような能力を与えたりするわけです。
ですからいったいこの技術をどっちの方向に持って行くのか、そういうことをみんなで真剣に議論し合わなければならない時期に、今まさに来ていると思うのです。
5年前になかった技術が、ワァーと爆発しそうになってきているといわれるこの時点、この時点だからこそ今、そういう議論をする必要があるのだと思うのです。』
切羽詰まったこの呼びかけから16年、グリーリー教授の「話し合いが早すぎることはありません」という言葉に開眼しましたが、今からでも遅くはないと私は思います。
そして議論はずっと続けなければならないと思っています。
サイボーグ化
身体拡張
義手
兵士の脳にチップを埋め込む
国際サイボーグ倫理委員会
では今日も1日前向きに!