一寸先はヤミがいい

〜薬剤師ガンサバイバー 今日も前向きに〜

1 一寸先はヤミがいい

f:id:aoi_fukurou:20210217095428j:plain


2018
年9月乳がんステージ4と

診断された時、私は64歳でした。

乳がんは突然就寝時に現れました。

子供を3人産んだ頃から左乳房の周りがちょうど浮き輪のように硬くなっていました。

特に調べることもなく30年が経ち、突然浮き輪の真ん中にピンポン球が現れたのです。

後から考えてみればその浮き輪が時間をかけてガン化していたのでしょう。

もちろん年2回の定期検診は必ず受けていましたし、腫瘍マーカーの検査も1年に1回受けていて、乳がんの指標であるCEACA15-3に異常はありませんでした。

ただし、マンモグラフィー検査は一度も受けたことがありませんでした。

 

乳がんは現在かなり高い確率(ステージ1の5年生存率は99、9%)で治る病気になっていますが、ステージが上がるたびにその5年生存率は低下します。

ステージ4の5年生存率は約30%です。乳がん治療にはたくさんの抗がん剤があり、治療方針も確立されています。

 

 

主治医は穏やかなやさしい男性の先生です。

当時の主治医とのやりとりです。

 

主治医 「リンパに転移があり、右肺と骨(椎体)に転移らしきものがあるんだけど、呼吸器科の先生に相談したら、右肺の細胞は乳がんの転移とも肺がんとも見分けがつかないが、どうも転移の可能性が高い。幸い肺には1個しか発見できないので、すぐに除去手術をしましょう。また椎体の骨転移は厄介で、細胞を取ることができず、何か症状が出てこない限り何もできないのですが、症状が出て来たら、放射線を考えます。

あなたはこれからつらい治療に入るので、早くこれはクリアーしましょう。」

 

というわけで、腹腔鏡ならぬ胸腔鏡手術(左脇胸に2箇所穴を開ける)で細胞を除去したところ、やはり乳がんの転移であることがわかりました。

 

主治医「ステージ4だと、乳がんを手術するかどうかはあとで考えることにして、まずは決められた治療が確立されているので、治療を開始しましょう。」

 

ステージ4とは?

リンパに転移(ステージ3)があり、肺と骨(椎体)に遠隔転移があること

 

 「それは乳がんの手術をしてもしなくても5年生存率に差がないということですか?」

主治医 「まあ、そういうことです。」

 「でも先生、乳がんはこのまま放置するのは嫌なので、その後手術して取ってもらえますよね?」

主治医 「でもあなたの場合は、全部取ることになるけどいいですか?また乳房再建もできますが・・・。」

 「乳房全摘してください!!乳房再建はしなくていいです!」

 

 

私の職業は薬剤師で

街の調剤薬局で働いています。

今まで多くのがんの患者さんともお話しさせていただきましたが、ステージ4は、限りなく死に近いという印象です。

 

自分がそう宣告されたことはショックでしたが、死の恐怖は感じませんでした。なぜ感じなかったか?それは今後お話ししていくつもりです。

 

ああ、死ぬまで生きられるんだ!!

なんて当たり前の言葉が頭の中を巡りました。

死の宣告(その時は1年くらいしか生きられないと思ったので)を受けたことで、

チコちゃんに叱られるようにボーっと生きてきた毎日が急に輝いて見えてきたのです。

死ぬまでにやらなきゃならないことがある、早くやらなくちゃ、私には時間がないのよ!

アドレナリン、全開!

 

がん保険はいくら支払われるのか?

私の入っているがん保険は、古いもので、65歳までに癌と診断されたら100万円出るものでした。よくみると、65歳以上で診断されると半額の50万しか出ないことがわかりました。私はギリギリ64歳10ヶ月で乳がんと診断されました。

 

現在はたくさんのがん保険がありますが、私が加入した約30年前の保険はあまり種類がありませんでした。今は3年に1回はがん保険を見直した方が良いと言われるくらい、がん治療は進歩しています。

  

なぜ今ブログを始めようと思ったのか?

1年で死ぬかもしれないと思っていたのに、乳がん宣告から2年半経って、乳がんと診断される前と同じ生活、いや、それ以上に輝いた生活を過ごしていること、乳がんという病が私を変えてくれ、教えてくれたことを、同じ病気の方やこれから病気になるかもしれない方に発信することで、病気になることを恐れずに、いつも前向きに生きていきましょう!と言いたいのです。

病気が精神力で治るなんて、思っていませんし、病気をしっかり受け止めて生きることに意味があるんです。

 

世の中にはいろいろな病気があり、不治の病は存在します。

病と向き合ってどう生きるのか?どう生きたいのか?死ぬのをただ待っているの?

それは自分への問いかけであり、どうしたって自分自身と向き合わざるを得ない(内観)作業が必要となるのです。

 

※内観とは、内省、つまり自分自身の内面を見つめること。

例えば、辛い時、なぜ辛いと思うのか?何が自分を辛い思いにさせているのか?

まずは自分自身の思考と感情に気づき、それを受け入れてから全て否定してみる。

そこからまた新たな自分を築き上げることではないでしょうか。

それには自分の生い立ちやつらい過去との対峙が必要になるはずです。

 

内観はいつだってできますが、人は何か壁にぶち当たらないと、その必要性を感じないものです。

でも内観は早くしておく方が生きやすくなります。

だって自分はこういう人間なんだ!ということが分かれば、将来何が待ち受けていようが対処できるようになるからです。

 

人間が誕生して以来、今まで死ななかった人は1人もいないんです。

死への漠然とした恐怖については、先人たちが色々な知恵を教えてくれています。

私の考えを今後ブログに書いていきたいと思っていますので、私のブログを読んで、何かそのきっかけをつかんで、前向きに生きることができれば幸いです。

 

人生一寸先はヤミ、とよく言われますが、私は一寸先はヤミだからいい!ヤミだからこそ、その中に光を見つけた時の感動は何にも変えられない喜びがあると言いたいのです。

ボーっと生きるより、死を意識して生きる方が面白い、今生きてるって思えるのは楽しいじゃないですか。

 

では、次回をお楽しみに!明日も1日前向きに頑張りましょう!!